
こんにちは、ちゅーやです。
今回はAmazonの決算解説をします!
この記事を読めばわかること
✔ Amazonの決算内容
✔ Amazonの決算で注目すべきところ


Amazon決算ー売上・EPSをミス
サマリー
予想 | 結果 | |
EPS | $8.92 | $6.12 |
売上高 | $111.6B | $110.81B |
ガイダンス | $142.15B | $130~140B |
AWS | $15.48B | $16.11B |
Amazonの2021年Q3の決算は売上・EPS・ガイダンスすべてミス。特にEPSは市場予想を大きく下回る結果になりました。
唯一良かった点はAWSが好調を持続させている点で、予想を上回っており39%YoYとなっています。
EPS大幅ミスの背景:人件費や輸送費などのコスト増加


売上は2020年の$96,145Mから15.3%増益の$110,812Mになり、しっかりと増収を達成しています。確かに、アナリスト予想平均には届いておらず物足りないものではありますが、売上だけを見ると、EPS大幅にミスの原因は見えてきません。
EPS大幅ミスの原因として着目してほしいのは、「コスト」です。上の表で言うと、「Operating expenses」がそれにあたります。
計算すると、昨年から今年にかけて17.3%もコストが増えていることがわかります。
15.3%増収しても17.3%もコストが増えれば利益は縮小してしまいます。これが原因でEPSは51%の減収となりアナリスト予想をミスしてしまったのが今回の決算です。
コストの増加要因として、近年巨大IT企業への風当たりが強くなり賃金を上げざるを得なかったほか、世界的なサプライチェーンの混乱による輸送費の増加が挙げられます。
特にAmazonは従業員が多く、またビジネスモデル上輸送を行わなければならず、輸送費も大きな影響を受けたことが非常に大きいですね。
まだまだサプライチェーンの混乱は続く可能性があり、また巨大ITは解体論もでていることから社会奉仕活動が必須であり、賃金・教育・環境コスト等が嵩むと考えられるため、厳しい状況が続くかもしれません。
今後、Amazonの決算を確認する場合には、売上とコストどちらの伸びが大きいかに着目していく必要があります。
AWSは39%YoYと好調
そもそもAWSって何?
AWS(Amazon Web Services)はAmazonが提供するクラウドプラットフォームです。インターネットを経由し、以下の画像に示したような様々なシステム機能を構築することが可能です。
データやサーバの管理などをAWSに任せることでより効率的、迅速的に業務を遂行することができます。


また、米国調査会社のガートナーが発表したIaaSのシェアは以下の通りで、AWSがマーケットシェア45%となっており、2位のMicrosoftを突き放しています。


AWSの特徴の一つに「従量課金制」が挙げられ、AWSの中のこのサービスはいくらという風に決まっており、ユーザーがそれを利用することで課金されていくシステムです。
そのため、新サービスを導入することで既存の顧客に対しても売り上げを伸ばせる余地があるサービスになります。
四半期ごとの決算推移
Million$ | 売上 | 営業利益 | 営業経費 |
2021Q3 | 16,110 (+39%) | 4,883 (+38%) | 11,227 (+39%) |
2020Q3 | 11,601 (+17%) | 3,535 (+36%) | 8,066 (+9.6%) |
2019Q3 | 9,954 (+34%) | 2,596 (+19%) | 7,358 (+40%) |
2018Q3 | 7,430 (+45%) | 2,177 (+60%) | 5,253 (+40%) |
2017Q3 | 5,113 | 1,354 | 3,759 |
AWSは数年間順調に伸びており、4年間で3倍もの規模になっています。
2020年は伸びが大きく鈍化していますが、今回は再びYoY30%台に乗せてきているので非常に優秀と言えますね。
今期のAmazonの全体の利益は$4,852Mですが、AWSの利益は$4,883Mのため、AWSが無ければ赤字になっていた点も非常に興味深いです。
また、Amazonの現CEOであるアンディ・ジャシーは、以前AWS部門のCEOを務めていた人物で、そんな人物をジェフ・ベゾスはCEOに指名したのですからAmazonがAWSに力を入れているのは間違いありません。
今後、Amazonの決算を見るうえでAWSの売上やEPSも注目しておかなければならない指標と言えます。
Amazonの今後
通販事業は厳しい
皆さんもご存じ、通販サイトのAmazonは$50B以上の売り上げを上げる非常に大きな事業ですが、近年はいわゆるAmazon離れが加速しています。
何が起きているかというと、Amazonは中小企業をはじめ様々な企業や個人が出品する形もとっていますが、Amazonの販売手数料は高いことが問題となっており、中小企業などは自社サイトで商品を販売する仕組みの導入を始めています。
サイト決済を導入するサービスを展開する代表銘柄がショッピファイ[SHOP]で、Q2の決算は売上56%YoY、Q1は110%YoYと絶好調が続いています。
ショッピファイのようなライバル企業に顧客を奪われている今、通販事業の急速な成長は期待できないのが現状です。
でもAmazon Primeは強い!
ただ、AmazonにはAmazon Primeがあり、これが非常に安価で素晴らしいサービスです。Amazonのお急ぎ便を利用できるだけでなく、送料無料、Amazon Prime Video、Amazon Musicが利用可能になります。
$12.99(+税)/月から加入でき、年間プランに加入すれば$9.9(+税)/月で利用することが可能です。
NetFlixやSpotifyはそれだけで10ドル前後の値段帯ですから、それらを組み合わせてAmazonの送料無料やお急ぎ便までついたAmazon Primeの価格設定はどうかしているレベルで安いです。
しかも、そのどうかしている値段設定は日本においては顕著になります。
日本では月500円/月から加入でき、年会費で申し込めば408円/月で利用できることになり、Amazon Primeに入らない選択肢があるのかと思うほどです。
Amazon Primeがある限り、シナジー効果によって通販事業も一定の売り上げを見込めると思いますので、大きな業態変化がなければしばらくは稼ぐことが出来そうかなといった印象です。
主力はAWS
やはり今のAmazonを支えているのはAWSで間違いないでしょう。
AWSは売上高で見れば全体の20%の満たない事業ですが、非常に利益率が高く、Q3の利益は全てAWSによるものとなりました。
それ以前もAWSはAmazon全体の70%の利益を稼いでおり、AWSが主力ということに間違いないです。
では、このAWSが今後も伸び続けるか、ということですがこればっかりは決算を追っていくしかありません。
2020年までは増収増益はしているものの利益の加速に陰りが見えていましたが、2021年は非常に好調となっています。このAWSの決算に再び陰りが見え始めると非常にまずい状況になります。そのため、今後の決算で真っ先に確認するべき指標となります。
とはいうものの、AWSは今まで非常に好評を集め、業界首位にたどり着いたサービスであり、その牙城は簡単には崩れないと推測しています。
そもそもクラウドプラットフォーム事業は参入障壁が高く、既存の顧客はなかなか他社に乗り換えにくいので、あとはどれだけ新規顧客を開拓できるかにかかっていますが、Amazonには通販事業で取引している企業も多く、それらの企業にも営業をかけることで他社と比較して簡単に顧客を獲得できる可能性が高いです。
しかも、そこで顧客を開拓できれば、Amazon通販サイトも離れにくくなる効果付きです。
Amazon One


Amazon Oneは、手のひらの掌紋を認証して本人確認を行うシステムのことです。
Amazon Oneデバイスにクレジットカードを挿入した後に掌紋を登録すると、クレジットカードと掌紋が紐づけされる仕組みです。登録後は、専用機器に手のひらをかざすだけで認証が行われ、入場や決済がタッチレスで行えます。
レジに並ぶ必要がなく、また接触の機会も削減することが出来ます。
こうした事業も行っており、まだ導入店舗も少ないですが、こうした事業も展開しているということは覚えておいて損はないでしょう。
最後に
今回はAmazonの決算について解説しました。今回の決算は残念な結果に終わりましたが、AWSは強い決算を出しています。
今後Amazonはコスト問題にも対応していくことが予想されるので、コストがどうなっていくか、またAWS事業は順調か、そんなところに着目して決算をチェックしていきましょう!



最後までご覧いただきありがとうございました!
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